First Invasion(はじまり)
数十分後、リー=アプリコットはフェルミエールシティ大学病院にいた。インテロゲーター内にいた時と同じ白衣をきて、女医らしさ強調している。銀河警察というキツそうなイメージのある組織の医療捜査官のイメージとは程遠い優しそうな顔立ちに、彼女を迎えた病院の幹部たちはホッとしているのが見て取れた。彼らも監査が入るということを数日前に通告されたばかりで不安だったのだ。
「どうぞこちらへ」
そう医師の一人と思わしき白衣の男がリー声をかけて病院の中に案内する。リーの方も泣きぼくろが眩しい垂れ気味な優しい目で軽く微笑んで案内されるがままに病院内に入る。彼女は銀河警察で働くバリバリのキャリアウーマンである一方、一児の母でありためか院内にいる子どもたちを優しげに見ている。
通されたのは応接室だった。すでに彼女が要請した各種資料はすべて机の上にまとめられている。
「星川学園の生徒たちの健康診断のデータはどれですか?」
そう彼女が問うと、すぐに彼女を案内した医師が机の上から資料が入ったデータデバイスを取り出して彼女のほっそりとした白い手にわたす。
「これです」
「ふふ、ありがとうございます。みなさんが協力的で本当にありがたいです。今回の件は医療情報がとても重要になりそうなんですよね」
そう言いながら彼女がその優しそうな目を渡されたデータに落とした瞬間、急に騒がしくなり、応接室の扉が開いた。
そこにいたのはフェルミエール自治共和国大統領だった。彼女のトレードマークの赤いスーツの中で小走りできたため豊かな胸がセクシーに上下している。銀河警察の調査に対応し、ガニマタハルの淫猥な謀略を手伝うためにあちこちに大統領自ら手を回しているのだ。
「はじめまして、あなたがここの病院に査察にいらっしゃったリー調査官ですわね。わたくしはこのフェルミエールの大統領、ヴィクトリア=クロースですわ」
彼女の突然の訪問に周囲にいた医師やナースたちは驚いているようだった。リー自身もこの予期しない会見にすこし緊張するのを感じる。そして目の前に差し出された大統領の手に戸惑う。すでにこういったことはインテロゲーターが着陸した直後にエリッサたちが済ませたはずだ。なぜわざわざここに大統領が自ら来ているのかしらとリーは混乱する。
だが、もちろん混乱しながらも礼を失しないように彼女自身の自己紹介を口にする。
「リー=アプリコットニ等医療調査官といいます。えっと、一応薬物犯罪や人造生物系の犯罪の担当ということになっていますわ。今回の事件は貴国の名誉の問題だとは聞いていますけれど、閣下ご自身がいらっしゃるとは思いませんでした…」
そう混乱してどもりながら差し出された手を握る。
その瞬間だった。握手している彼女の白い手がヴィクトリアによって掴まれ、引き寄せられる。同時に大統領の体が彼女の体に近づき、抱きしめる。たくさんの医者とナースたちが見ているその前で、公式の挨拶としての握手がハグとなり、そして次の瞬間薄くクリップが塗られた健康的なリーの唇に真っ赤な口紅が官能的なヴィクトリアの唇が重なる。
リー自身が突然の状況を把握するよりも早く、ヴィクトリアの舌が侵入してくる。いつもガニマタハルの肉棒を奉仕することに慣れている舌が、その徹底的に性犯罪者によって仕込まれた舌技とともに混乱で抵抗の少ない貞節な医務捜査官の口の中に侵略してくる。
思ってもいなかった状況に動転して、抵抗することもなく淫猥な大統領の舌の侵入を許してしまったリー=アプリコット。彼女はまさかヴィクトリア大統領自身がガニマタハルに洗脳され、服従し、心酔させられているとは思いもしていなかった。
だが、実際には彼女の舌はガニマタハルの所有物だった。フェルミエールの民衆をガニマタハルのためにたぶらかす演説をし、ガニマタハルの肉棒を優しく舌先でくすぐり、そして今日は銀河捜査官の口の中に睡眠薬を無理やり押し込む。
そう、キスをしたのは唇と歯の間に用意しておいた睡眠薬をキスと共にリーに飲ませるためだったのだ。捜査先の惑星では一切現地のモノを飲食しない銀河捜査官に薬を盛るのは簡単ではない。そのためにガニマタハルが一計を案じたのがこの茶番だった。
結果は計画どおり、医務捜査官は大統領の腕の中ですぅすぅと浅い寝息を立てている。エリッサやイツキと比べると身体能力に劣り、スキの多かったリーはまさか敵だと思いもしなかった政府要人に口移しで薬を盛られ意識を失う。
まるで母親の腕の中で眠る子供のように無防備に抱きかかえられているリー。彼女の優しげな色合いの茶色い髪が赤いヴィクトリアのスーツにかかる。
「さぁ、はやく連れて行きなさい!」
そうヴィクトリアが命令するとナースたちがストレッチャーを用意してきて、今まさに敵の手におちた捜査官を寝かせる。この病院はこのためにあらかじめ指導されていたのだ。
それから数分後、豊満なリーの体は病院の地下にあった。椅子に座らせられているが、両手両足は鎖で縛り付けられ、首さえも固定されている。服も全て取り去られ全裸の状態だ。
そしてたくさんの医療機器が彼女の体に取り付けられている。この空間それ自体が今日のためにわざわざ準備されたものだった。
「アツッッッ!」
その声とともに太ももに焼けるような痛みを感じてリーは目を覚ました。彼女の混乱した頭は状況を把握できていない。彼女の視界に入ったのは医療用の機械に囲まれた狭い部屋。そこでナースたちが忙しく働いている。
もっと見渡そうとして首を動かして首が固定されていることに彼女は気がついた。確認しようとして手で触ろうとしたが、手も動かない。目だけ動かして手を見れば、金具で彼女の手は拘束されている。おそらく首や足もだろう。
彼女のふっくらとしてよく肉のついた柔らかい太ももの間で一人のナースが何かをしていた。太ももに何かジンジンする熱い感覚がする。
「何をしているんですか!」
彼女が叫ぶ。そのナースは顔を上げてニッコリと言った。
「良きNクラス奴隷市民になるための商品バーコードを焼印していました。これであなたも上位クラスの方にご奉仕できますよ」
その口調はとても善意に満ちていて、彼女を見上げる表情は仕事を達成した満足感に満ちていた。
そしてそこでリーは気がついた。彼女の着ているナース服は普通 のものではない。股下数センチの超ミニスカート、体のラインにフィットしてくびれた腰を強調し、胸元を強調するように丸く穴が空いている。そしてその服自体が簡単に脱げるように背中でリボン結びした紐だけでとまっているのだ。それはナース服と言うより、ナースプレイのために用意されたチープなコスプレだった。
突然、ナースたちが作業を止めて、一列に整列する。リーの股の間で作業していたナースもだ。彼女が去った後にはリーの魅力的な柔らかい太ももには彼女の名前と見慣れない番号、そしてバーコードが焼印されていた。
いきなりのことに更に混乱する。こんなふうにされてしまってどうすればいいのかしら。皮膚移植とかで直せたかしら。
その思考は扉が開いたことによって中断する。入ってきた男は彼女もよく知っていた人物だった。会ったことはないが、エリッサから何度も聞かされ、その危険性はよく知っていた。
聞いたとおりの汚らわしいビールっぱら。醜悪な顔はたるんだ顔の筋肉で更に気持ち悪く、しかも禿かかっている。ドタドタと入ってくるその足音にはスマートさのかけらもない。格好は全裸に白衣という最低なもの。
だが、誰一人悲鳴を挙げない。並んで男を迎えたナースたちはみなトロンとした目でまるで愛おしい人でも見るかのようにその醜い中年を見ている。
「ようこそ、我が星へ。太もものこれは気に入ってくれたかな、フヒヒ」
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