9月10日
「あー、見ちゃったんだ…」
後ろから声がした。カオリの新しいスマートフォンを握りしめて俺は固まる。ついさっきまでカオリのスマフォの中で読んでいたSNSの履歴。それと目の前でいつものようにしているカオリが繋がらなくてフリーズする。
「でも、ケイ君が悪いんだよいつまでたっても私のこと襲ってくれないんだもん。
あ、ひょっとして履歴読んでイッちゃったの」
カオリの視線が下の方に向く。そこには先程までカオリの痴態をSNSの履歴で読んで幾度となく果ててしまった結果、シミが出てしまっている俺のズボンがあった。
「そのままじゃ、不潔よ。脱ぎなさいよ」
そう言ってカオリが真剣そうな表情で俺の下半身に手をかける。
「いや、いいよ。恥ずかしいし…」
そう口ごもる俺にカオリが、
「遠慮しなくていいよ。私はケイ君の彼女なんだよ」
そういたずらっぽく微笑むカオリに俺は何かしら期待してしまった。テキパキと俺の下半身を露わにするカオリ。
「ちゃんと栄養取らなきゃだめだよ。ちょっと薄いんじゃないかしら?」
そう、精液の染み付いたズボンを脱がしながら言うカオリ。ナチュラルにカオリが他の男の精子を知っていることを含意したその心遣いに俺は絶句する。
「あ、またおちんちん勃起してる?」
そう言って汚く汚れた俺の竿を握るカオリ。
「まだ、私ケイ君のこと好きなんだよ。でもケイ君がもっとすごかったら良かったなって思っちゃうの」
そういって竿を上下するすべすべのカオリの白い指。こそばゆいほどに微かなその刺激が俺を高めさせて絶頂させる。
一瞬カオリが固まった気がした。
「…えっ…早すぎるよ」
困惑したような表情の彼女が俺の股間を見下ろしている。
「どうすればいいのかな?私、今度翔平様に聞いてみるね。どうしたら男子のおちんちんって強くなるのかって。
ケイ君が私の彼氏にふさわしいように一緒にがんばろう?」
そういうカオリに俺は首を縦に振るしかなかった。なんで当然のようにクラスの不良に相談するのか、なんで普通にそいつに『様』をつけるのか。到底受け入れがたいことばかりだったが、校則通りにきちっと制服を着こなしたカオリの前で無様に精子まみれの下半身を裸にしている俺はなにも聞けなかった。ただただ自分の惨めさが腹立たしかった。
「シャワー浴びてきなさいよ。こんなズボンじゃ外歩けないでしょ」
そう彼女は指についた俺の精子をなれた手つきでハンカチで拭きながら言う。いつだったか俺がプレゼントしたハンカチだ。それで何の抵抗もなく卑猥な液体を拭っている。俺は心に冷たいものを感じながら三倉家のシャワーを借りる。バスルームには所狭しといろんなボトルが置かれていて、少しの違和感がある。女子だったら化粧品もあるし、こんなもんかとも思うが…。
「シャワー、ありがとうな」
脱衣場でわざわざ待っていたカオリにドギマギしながら言う。以前の彼女だったら恥じらいとかそういうのでこんなところで当然のように待っていることはなかっただろう。
「これ、着替えね。脱いだ服はこっちにまとめておいたから」
なれているかのようにテキパキ指示していく姿は風紀委員長らしいけど同時に違和感もある。なんで男物の服の予備がカオリの家にあるのか?父親用?
渡されたのは黒のボクサーパンツにランニングシャツだった。ふっとかすかにカオリが笑う。
「しまらないわね」
確かにどちらも一回り俺より大きくてぶかぶかだ。そしてその上からやはり手渡された派手で下品な黒色のスウェットを着る。彼女の父親が切るにしてはあまりにも若者向けのデザイン…俺はそこで考えるのをやめにした。それ以上考えたら彼女のことが嫌いになってしまいそうだから。せっかく彼女の方でも俺の事を好きになろうとしてくれているのに、俺の方の心がはなれてはいけない。なんとかして俺の力で不良からカオリを取り戻さなければ。
そのあとは再びカオリの部屋に戻って俺は勉強した。一緒に勉強しているはずのカオリはどこか上の空で例のスマフォでSNSをやっているらしかった。
9月11日
翌日、学校帰りに彼女の方から声をかけてくれる。
「今日も私の家で勉強しない?」
本当だったら予備校の自習室のほうが集中できるのだが、いつの間にか彼女は予備校をやめてしまったのだからしかたがない。俺は首を縦に振った。
昨日とほとんど同じカオリの部屋。だが、ベッドはどこか乱れていて、部屋中に消臭剤のきつい匂いが充満して
いる。
「そこに座って」
いたずらっぽくベッドを指差すカオリ。今日はなぜかメガネをしている。いつの間にかメガネを取り去っていた彼女が元通りメガネをしている。昔の彼女が戻ってきたような安心感。俺の隣に彼女が座る。
「昨日、翔平様と男子の友達にケイ君のおちんちんを強くて太くする方法を聞いてみたわ」
クイッとメガネを指でして、すこし気取った優等生モードのカオリが言う。
「やっぱり、まずは我慢することから覚えないと行けないというのが結論よ。昨日、いったい何回こすったらイッちゃった?」。
ハキハキとまるでクラス会のときのように言うカオリ。恥ずかしくて口ごもる俺。
「ほら、恥ずかしがらない。私はケイ君の彼女なのよ。
でも、いいわ。数も数えられないケイ君に教えてあげる。
たった二回よ。二回シコッ、シコッってしたらケイ君はイッちゃったの。何か言い訳あるかしら?」
恥ずかしい事実を突きつけられて俺は黙り込む。
「ほら、答えて。私の彼氏なんだからシャキッとしなさい」
そう言われると俺は答えるしかない。
「ない…」
とても惨めな気持ちになりながら俺は答える。
「彼女の前で気にしても仕方ないでしょ。そう、がまんできなかったのよね?」
促すように俺を見る。どこか面白いものでも見るようにニヤニヤした顔のカオリ。俺は恥ずかしくて目を泳がせる。
「我慢できなかったのよね?」
再び聞き返される。殺気より強い口調だ。
「うん…。我慢できなかった…」
小さく俺は告白する。
「そんなにすぐ射精したら男らしくないわよね?」
またいたずらっぽく笑いながら彼女が問う。オレは期待されている言葉を理解していたけれどもそれを認めるのが嫌で言葉を濁す。
すると這うようにカオリの指がオレの股間の上に伸びてきてかるく撫で回す。たったそれだけのことでオレは勃起してしまう。
「ほら、勃起してるのに恥ずかしがることないでしょ。
早漏は男らしくないわよね?」
服の上から勃起仕掛けのそれを撫ぜていう。
「うん‥‥男らしくない…」
にっこりとカオリが笑ってオレの額にキスをする。
「私の前では正直になりなさい。全部受け入れてあげるから」
まるで俺の全てを肯定するようなセリフ。
俺の緊張が解けたのを見計らったかのようにカオリがズボンに手をかけてガバッと脱がせる。制服姿のカオリの前で俺の半立の股間が露出される。
「これな~んだ?」
いたずらっぽくカオリが笑って金属製の筒状のものを見せる。全体がメッシュ状になっていて、筒の上半分に蛇の口を模した切り込みが入っている。ただグロテスクなそれは一見蛇というよりも映画のエイリアンに見えた。
俺はそれがなにをするものなのか見当もつかなかった。
「ぶっぶー、時間切れね。これは貞操帯っていうものらしいわ。男の子に我慢することを教えるアイテムなんだって。翔平様のおすすめよ」
そういってその筒状の金属に指を入れてみせる。その瞬間俺は彼女の意図を理解てしまった。あるいは岸和田翔平の意図を理解してしまったと言うべきなのだろうか。
「男らしくなるためにこれつけてほしいわよね?」
そう俺の顔をしたから覗き込むようにカオリが言う。いたずらっぽいような小悪魔なカオリの顔。俺の知らない彼女の姿だった。それが妖艶に下から俺の顔を覗き込む。そして俺の胸板に手をはわせるとワイシャツの上から乳首をクリクリといじる。思わず鼻息が荒くなる俺。
「ほら、男らしくなりたいんでしょ?」
突然俺はカオリの唇に妖艶すぎるほどに口紅が塗られていることに気がついた。その唇が言う。
「ほら、正直になって…」
「つけてほしいです…」
言ってしまう、破滅的なセリフを。それなのにカオリは俺の知らないいたずらっぽい表情で追い打ちをかける。
「ふふ、きこえないわよ。なにをつけてほしいの?」
「貞操帯…をつけてほしい…です」
惨めなほどに俺はそう言ってしまった。
カオリの唇が俺の唇一瞬触れた。
「よくできました。これはご褒美よ。ちゃんと正直にしてたらご褒美があるからね♪」
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