寝取られた彼女➖風紀委員長三倉圭織➖11:カオリちゃんの部屋に呼ばれちゃったぜ、いえぇい!

6月22日
[佐藤圭吾]

 今日初めて俺はカオリの部屋に入る。ここまで毎日試験勉強は予備校の自習室で、時々俺の部屋だったがカオリの部屋に入ったことはなかった。昨日、すこし恥ずかしそうにもじもじしながら「気分転換に私の部屋…くる?」そういったカオリに心の中でオレはガッツポーズだった。もちろん試験直前に間違いがあるはずはないけど、それでもそこまで彼女が俺のことを認めて信頼してくれた、そのことだけで十分だった。

 たぶん、この一周間の試験勉強のひたむきさがカオリにも伝わったんだと思う。これは試験の結果がよくなるお墨付きをもらったようなものだし、そうすればそのあとの…だめだ、考えすぎたら絶対集中できなくなる。

 シンプルな風紀委員長の部屋。彼女らしく隅々まで片付けられている。白いカーペットの上に机が置かれ、そこに教科書や参考書が開かれている。基本的には黙々と二人で勉強しているわけだけれども、かすかに匂うそこはかとない心地よいカオリの香りや、机が小さいせいですぐ目の前にあるカオリの顔が妙に艶めかしくてなかなか集中できない。

 「あ、コーヒー飲み終わっちゃった?いまお代わり持ってくるね」

 そういってカオリが立ち上がる。しばらく前から夏服になった半袖のセーラー服の白がまぶしい。立ち上がった拍子に初夏のかすかな暑さのせいで汗ばんだ彼女の素肌が軽く制服にはりつく。そして見える彼女の下着の線。それは黒だった。なんだか、校則にうるさい彼女ならTシャツを着ているもんだと思っていたからうれしい誤算だ。

 彼女の後にした部屋を見渡す。机の上に置かれた写真たてには二人でとった写真が飾られていてなんだか気恥ずかしくなる。二人の筆箱にはおそろいのストラップ。こうしてみるとすごくカップルっぽい。そして明後日から始まるし兼さえ乗り越えれば来週にはきっと彼女ともうワンステップ踏めるだろう。
「おかわり、どうぞ!お母さんがクッキーもくれたよ♪」

 そうお盆を持って戻ってきたカオリがにこやかに笑う。俺だけに向けて。普段こうるさい風紀委員長のカオリがこんなに柔らかい笑顔を見せるのは俺に対してだけだ。そうおもうと胸がなんだかドクドクうるさくて、顔が熱くなっている。

「ケイ君、顔赤いわよ?なんかよからぬこと考えてたんでしょ?まったく男子ってば…」

「いや、そんなことないってば」

「集中しなよ?じゃないと約束なくなっちゃうわよ」

 そういって俺の額にデコピンするカオリ。

6月23日
[三倉圭織]

 はぁぁっ、ため息がこぼれる。すべてがうまくいかない。試験のことじゃない。試験はたぶんいつも通り何とかなる。けれどもこの頭痛、パセシーの禁断症状がこんなに早く出るとは思わなかった。明日から始まる試験で、体調不良は絶対よくない。それにけだるさから、頭もあんまり動かないんじゃないかと思うと気が気でない。

 そして、もう一つ、パセシーの頭痛よりもさらに頭の痛いことがある。ヤクザがお父さんの会社に現れてお父さんからお金を巻き上げようとしているらしいのだ。パセシー、私が吸った分のクスリの代金を父に支払うように要求して会社で怒鳴ったり暴れたりしたみたいだ。

 もちろん父に心当たりがあるはずもなく、とにかく平身低頭して帰ってもらったけどそのヤクザはまた来るって言い残していたらしい。

 私の方はもちろん心当たりもあるし、どうすればいいのかもわかっている。でも、気が進まない。いつもの人気のない女子トイレでピカピカのスマホを片手にため息をついている。頼まなければいけない。それは明らかだし、絶対交換条件にエッチなことを要求される。それも明らかだ。

 仕方ないので私はその場で着替えることにする。岸和田君に前回もらった黒い下着だ。とてもいやらしいデザインだ。柄物のショーツを脱いで足を通す。前回以来、なんとなく白い下着が着づらくなった。もちろん、そういう風なことを岸和田君に命令されたことも覚えているし、反骨的に無理して着ようとしたこともあったけど、なんだか生理的にいままで普通に着ていた白いシンプルな下着を着るのをためらうようになっていた。

 ブラはシャツを着ることでごまかしている。柄物は校則違反だから、風紀委員長の私が守っていないとほかの生徒に示しがつかなくなってしまう。

 Tバックのすごくエッチな下着を身に着ける。スマホの待機画面はまさにその下着で私がバックから岸和田君に責められているところだ。目をそらしながらスマホでその卑猥な下着に包まれた自分の局部を撮影し、ただ一つ登録されたメールアドレスに送信する。メッセージは一言『ほしい』とだけ。

 すぐに返信が来る。

『お前の部屋でやるから今日は普通に下校しろ。下着はこの前やったやつな。予備校と彼氏には連絡すんなよ。じゃねぇと、お前の親父がもっとひどい目にあうぞ』

 何やら脅しめいたことが書かれている。私は思わず反論してしまう。

『すべて告白して、警察に行くこともできるのよ。そしたらあなたはどうなるのかしらね?』

『とにかく、お前の部屋で全部話すから待ってろ』

 ため息をついて私はそのトイレを後にする。

  予備校に行かなかったため、普段より早い時間に帰宅する。家には誰もいない。母さんがいれば、少しは良かったのに。 そう思いながら待つと、それほど時間を立たずしてインターホンがなる。見ればインターホンのモニタににやにやしながら金髪の不良が映っている。後ろには運転手の黒服の男もいる。

「親、いないんだろ?部屋に案内しろよ」

 そう開口一番告げられる。

「ちょっと、なによあんた不躾に。人の家に来てるんだから礼儀くらいきちんとしなさいよ」

 思わず口が出る。

「何言ってるんだ、ヤク中委員長が。お前の親は今うちに来てっからな、ヘタ打つとどっちか帰ってこれなくなるぜ」

 ぞっとするような声で岸和田君が言う。仕方ないので言われるがままに自分の部屋に案内する。あの黒服のヤクザも一緒だ。

「そうにらむなって、とりあえず一服しようぜ」

 そう言って岸和田君が例の紙巻きたばこを差し出す。でも、あの甘い匂いはしない。きっと普通のタバコなのだろう。けれどもいちいち細かいところでこの男の機嫌を損ねたくなかった私はおとなしく受け取って火をつける。いままで意識せずに幾度もすったニコチンとタールがパセシーの代わりに私の体にいきわたる。

「だいぶ様なってきたじゃねえか、風紀委員長サマ?」

 わざとらしくにやにやいう岸和田君。どかっと私のベッドの上に我が物顔で座って携帯灰皿を用意する。

「ま、そうだな。今日オレを楽しませることができたら、またクスリもやるし、お前の親父も助けてやろうかな?どーせ、ヤクザもんが職場に来た時点でお前の親父は首だろーし、オレならお前の親父の新しい仕事見つけてやれるぜ?しかもいまよりいい場所だ。ついでにパセシーの代金もチャラにしてやるぜ。

 どーだ、やる気でてきたかぁ、ああん?」

 挑発的に睨みつけながら、ポケットからもう一本紙巻きたばこを出してちらちらみせる。嗅ぎ慣れた匂いが鼻をかすめる。

 あまりに傲慢な男の態度に私は開いた口が塞がらない。でも、すでに八方ふさがりで策略にハマってしまっていることはわかる。なんとか必死で反論して譲歩を引き出そうと思考を巡らせる。

 そのとき、目の前に、鼻先にあの甘い匂いのする紙巻きたばこが差し出された。いままで考えることで精いっぱいで忘れていたパセシーに対する飢餓感が首をもたげる。

「バカなこと考えんなよ!どーせ、もう何度も抱かれてんだ、今更一回や二回変わんねーだろ」

 甘い匂いとともに岸和田君の声が私の奥底に溶けていく。そうだ、これは仕方がないことなんだ。そう無理やり納得させて首を縦に振る。

「わかったわ」

「『翔平君にご奉仕したいわ』って言えよ。あ、今日は撮影係としてマサがいるからカメラ目線ヨロシクな」

 そういって顎で黒服を指す。たしかにその人は紙袋をいくつか持っていて、そしてビデオカメラを構えていた。

 私は一瞬躊躇したものの仕方がないので言う。

「翔平君にご奉仕したいわ」

翔平君がいきなり私の胸倉をつかんで言う。

「そういうセリフはひざまずいて言うもんだろーが。あと、そんないやいやな態度ならぜってーお前の親父の面倒は見てやんねーからな!

 マサ、例のを渡せ。今日はこの衣装を着れ!」

 紙袋を渡される。そこにはかわいらしい黒を基調としたメイド服が入っていた。それもただのメイド服ではない。セパレートタイプでかろうじて胸の部分が隠れる程度の前も後ろの大きく開いたものだ。ほとんど水着とか、下着とかそういったレベルのもので。かろうじて胸が隠れているだけだ。胸元にかけて白のレースのひらひらで飾り付けられていていかにもエロい。下の方も超マイクロミニのフレアスカートに申し訳程度のエプロンがついている。それぞれ白のレースで縁取られている。

 それはとても卑猥で下品だった。それなのに見ているだけで私の心のどこかに着てみたいという欲求が出てくる。黒地はかわいらしくて、翔平君の命令に従わなければいけない義務感とで自然と私はその衣装を紙袋から出していた。

 制服を脱いで丁寧にその場でたたむ。そして男二人の舐めるような不愉快な視線を注がれる中で私はあの下品な下着をさらすと与えられた衣装を身に着け始めた。なんだかその卑猥なメイド服は私自身さえも卑猥にしていく気がして身に着ける瞬間快感に似たものさえ感じた。

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