[岩亀征夫]
あれから数日、順調にアイドルユニット『ふるーつじゅーす』は成長しつつある。安売りを避けるためにライブハウスでの公演は大きいところのみに絞って、それ以外はキャンセルした。手売りのCDの売上も伸びてきているし、早くもメジャーデビューが近づいていることをひしひしと感じる。妻の里英には悪いと思っているが転職の話は未だにできていない。彼女たちがメジャーデビューして収入が安定したらきっと言えるだろう。少なくともあのクソ兄貴にしてはかなりの資本力があることが明らかになってきた。
最近も地方ローカルだがCMの仕事などが徐々に入りつつある。なにより、こちらから営業に行かなくてもどんどん仕事が入ってくるのだ。気味が悪いと思いながらも私は早く成功させたいとの焦りからどんどん引き受けていった。あのブタのような兄貴がどんどん取引先で宣伝しているようなのだ。
「そういやさ、『ふるーつじゅーす』って処女だよな?ウヒッツ」
突然キモ兄貴から電話がかかってくる。
「当然だろ、恋愛禁止にしてるんだから」
「で、もちろん征夫それちゃんと目で見て確認したの?」
「何バカなこと行ってるんだ、兄さん。いくらプロデューサーだからってできることとできないことがあるんだよ。それに女の子たちは尊重してあげなきゃ」
「ためしてみたの?こっちは営業先でお前のユニットをおすすめされたら裏でやりまくってるって噂が立ってるから、いやだって言われたんだぞ。絶対確認しろ、しかもお前が直接確認してよ、グフッ」
いつもの締りのない声で私に命令する。いくら好きなアイドルのプロデューサーになっうからといってあのクソ兄貴にこんなに屈辱的にこき使われることになろうとは想像していなかった。それに、ふつうこんなの断られるだろうが。常識的に考えて。
しかし、結論からいうとできてしまった。二人を呼び出して事情を説明すると恥じらいながら二人ともこんなひどい要求をを聞き入れてくれた。彼女たちが私に対して思った以上に信頼してくれていることがわかり、おのずから嬉しくなる。
「お世話になってるわけだから、私たちもできるだけ協力しないとね!」
Tシャツにスパッツというダンスレッスンのラフな格好でみかんちゃんがリーダーらしく気丈に振る舞う。若干普段の元気な表情の陰に恥ずかしそうな雰囲気が見て取れる。
そのとなりでいちごちゃんもため息をつきながら首を縦に振る。
「仕方ないから、見せてあげるけど。触ったらダメだからね。ちょっとでも触ろうとしたらアタシ大声出すからね」
いつものキツメの物言いでいちごちゃんですらオーケーしてくれた。図らずもアイドルとプロデューサーの絆の強さを実感して私はかなり感動する。
場所を多目的トイレに移す。何かあったらすぐに人を読んでいいと約束していちごが扉の前に待機する。
まずはリーダーのみかんちゃんからだ。他のメンバーの前では気丈にリーダーらしく振る舞う彼女だが、私の前では素直に不安を吐露する彼女はほんとうに可愛くて支えてあげたくなる。すこしもじもじと困った顔をするみかんちゃん。
「あ、あの、私が脱ぐまで後ろ見ててください」
そう照れくさそうに言う。もちろん私にすきなアイドルを辱めるような変態的な趣味はないので壁のほうを向いている。しかし、偶然にも鏡がかかっていてスパッツを脱ごうとしているみかんちゃんが見えてしまう。彼女の方も後ろを向いて着替えているようで鏡の存在に気がつかない。ぴっちりとした機能的なスパッツが膝の下の方に移動して、見えてくるのは明るい黄色のショーツ。そしてその可愛らしいショーツが下の方に移動して見えてくる引き締まったお尻は年相応だ。私は一生懸命自分の男性器が反応しないようにこらえる。ここで反応してしまったら兄貴みたいな人間の屑だ。あくまでも私も彼女も仕事の一環としてやっているのであって、やましいことはあってはいけないのだ。
「あ、あのどうぞ」
そう言って、みかんちゃんが振り向く。そして鏡の存在に気がついたらしい。
「え、あの…みてました?」
普段の元気のいい彼女からは想像できない羞恥心に満ちた表情。目尻には涙の粒さえ浮かべている。私は大人として優しく首を横に振った。
「えっと、あの、、その…確認してください」
そう言って彼女は自らの固く閉じた女性器を指で広げてくれる。私は早く終わらせてあげようと顔を少女が指で大陰唇を広げその局部に近づける。
少女の綺麗に整えられたヘアが可愛らしく、やさしいピンク色の彼女のその部分はとても魅力的だと感じた。と同時に自分の娘と同じ年頃の女性を性的な目で見ていることに対して罪悪感を覚えてしまう。とっさにその思考を振り払うと、目の前で広げられた蕾を注視する。できるだけ早く彼女を辱めることを終わらせないと。そして少女のその部分の奥に白っぽいものを確認すると後ろを向いて言う。
「もう大丈夫だよ」
みかんちゃんは私が目に焼き付けてしまった彼女の秘所を必死で思い出すまいとしていることなど知らずに服を身に着けていく。
「じゃぁ、いちごちゃん呼んできますね」
そう今あったことなど忘れたかのように素直に言ってみかんちゃんが多目的トイレを出て行く。
ガラッと乱暴に扉がひらく音がしていちごが入ってくる。
「アンタ、あたしに絶対さわらないでよね。こ、こんなこと本当は嫌なんだから。仕事じゃなかったら絶対しないんだからね」
いつもどおり強気の姿勢を崩さないながらも、その肩はかすかに震えていた。プルプル震えながらそれでも強気を装うその少女の健気さに思わず私は小動物を連想してしまった。
「ああ、大丈夫だよ。壁のほうを見ているから早く終わらせてしまおう」
そう、落ち着き払って鏡のないほうの壁に向かう。背後からの視線を感じるのはいちごが私の方を警戒して始終ちらちら見ているからかもしれない。
「いいわよ、ホラ、見なさいよ」
そう声が掛かる。みかんと比べるとあまりにも子供っぽい肢体。ほそい柔らかそうな太もも、その左の付け根のあたりに小さなホクロがあって、それが彼女を余計に子供っぽく見せている。
それでも一生懸命仁王立ちで羞恥心を我慢しているのは彼女の強気な性格のせいなのか、それともプロ意識なのか。
背の低い彼女に合わせて私は深くかがむ。小柄な彼女の体格だからか、彼女の秘部はみかんと比べるとかなり小さい。彼女の白い指が陰唇をつまんで左右に広げる。しかし、小さいからか、あまり奥まで見えない。
「ごめん、もうちょっと広げて」
「この、ヘンタイ!!」
そう言いながらもポジショニングを調整して、すこし腰を突き出すようにしてより奥まで見えるようにしてくれるいちご。強気なのは口調だけで、その指は微かに震えているし、腰もどこかひくひくと引けている。
細いその器官の奥の方に微かに白い膜のようなものがちらっと見えた。私はこれ以上彼女を辱めるのは避けて、それで十分だと判断して、後ろを向く。
「ありがとう、感謝するよ」
「仕方ないんでしょーが」
強い口調で責められるものとばかり思っていたのに、帰ってきたのはどこか空虚なそんな言葉だった。どうやら彼女の中では羞恥心が優っているらしい。
[凪沙みかん]
すでに日が暮れかかっている町中を私達2人は足早に歩いていく。
それもこれもいちごちゃんのためだから。彼女の家ではお父さんが仕事をなくしてしまったみたいで、彼女だけでお家を支えている状態だ。もちろん、プライドの高い彼女がそんなことでリスクを踏みたくないと思っているのは知っていたけど、私は友達として、相棒として何とか彼女を助けたかった。たぶんこれは私のただの迷惑なお節介なんだろうけど、それでも何かしてあげたかったんだ。
何度目かの蝶野Pの事務所。入るといつも通りプロデューサーさんが迎えてくれる。後ろの方では女の人たちが何人もいるから事務所が結構大きいんだと思う。
「ち〜っす。今日は二人の初撮影だよね。上の階に撮影用のブースがあるから行こっか。
あ、ゴメン。二人とも前のところから直できてくれたんだよね。撮影する前に休んでいってよ。下の喫茶店のメニューから好きなの頼んでよ。運ばせっから」
そうチャラいもの言いながらもさり気なく気を使ってくれる蝶野さん。15分ほどパフェを食べながら事務所内の応接スペースでおしゃべりしながら休憩する。このパフェははじめ食べた時はなにか微かに生臭い気がしたけど、慣れてみるととてもおいしくて毎日でも食べれてしまう。
蝶野さんはモデル事務所のマネージャーをやっているだけあって流行のファッションとかに詳しくてとても参考になる。
そして休憩後上の階で撮影、というか撮影のリハーサルをすることになった。私達二人は更衣室で与えられた服に着替える。夏物の水着のモデルらいい。
それぞれのイメージカラーのセパレートのビキニを着て更衣室を出る。なんだか海でもないのに水着を着るのは恥ずかしい。
「おー、二人ともとってもかわいいよ。
じゃぁまずみかんちゃんから。ほら、そこにあるスクリーンの前に立ってね」
そういってあらわになった私の肩に無造作に蝶野さんの手が載せられる。素肌ごしに男の人のゴツゴツした手を感じる。それなのにそれは全然嫌じゃなかった。たぶん少し肌寒いのに、人肌が気持ちよかったからだと思う。
「ポーズはこんな感じで。すこし後ろ向きかげんでね。足は右足で立って左足は歩く感じで自然に曲げて」
そう言いながら蝶野さんの指が私の膝を掴んでポーズを指導する。男の人にこんなに体を触られたことなんて初めてだけど、モデルならこれが普通なんだろうか。
がんばらなきゃ。私があんまり気にしたらいちごに影響が出ちゃうかもしれないし。
「うーん、今日はまだなれるためのリハーサルみたいな感じだから本番じゃないからリラックスしちゃってね」
膝立ちになって私の腰のあたりをじっくり見ながら蝶野さんがいう。
「ほらみかんちゃんさぁ、もう少しおしりを付き出したほうがいいよ」
そういって無遠慮に私のおしりに手がかけられる。そのまま撫でるようにおしりのあたりでムニムニされる。セクハラ?声を出そうと思ったけれども思いとどまった。いちごちゃんのためにわざわざ自分で話を振っておいて私がここでセクハラを訴えたらこの話がなくなってしまうかもしれない。そしたらせっかく私の気遣いに乗ってくれたいちごちゃんの申し訳なくなってしまう。
それに、認めたくないのに、おしりを触られているのに嫌な気分がしない…。知っている人だからだろうか。
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