四十路おじさんたちが正義のヒロインをパコパコする話:プロローグ1

プロローグ1

 ボクは神坂夏織(かみさか かおり)。女子校生をしながら俗にいうところの正義の味方もしている。数年前にオーダー・セイバーという組織から声がかかった。たぶんボクがかなり若いにもかかわらず実家の神坂流剣術の免許皆伝になったからだと思う。そういうわけでボクはある街でいわゆる正義の味方をしている。

 オーダー・セイバーは人智を超えた力に対して人間世界の理を守る国際的な組織だ。実際知られていないだけで地球は宇宙人や異界人などから常に侵略の危機に陥っている。しかし、彼らの技術力やポテンシャルは未知のものであり、警察や既存の法体系ではほとんど対処不可能だ。だからこそまだ人間が完全に理解していない敵の技術を用いて対抗する組織が必要になる。それがオーダー・セイバーだ。

 今日もボクは剣道部の部活を終えてビジネス街にある一つの大きな高層に入る。オーダー・セイバーの支援企業である織姫財閥の支社があるビルだ。ここにオーダー・セイバーのこの街の支部がある。ピカピカのガラス扉にボクの姿が映る。切れ長の目、少し高めの鼻、高めに結った黒髪のポニー・テールが揺れている。ボクは微妙にずれている制服のリボンを直す。正義の味方だからきちんとしないとね。

 ボクはこれでもわりと男子部員からも人気があるほうだ。ただ、オーダー‥セイバー仲間の姫崎美園(ひめさき みその)に言わせれば女子力が足りないらしい。ひょっとしたら長年剣道で鍛えてきたせいですこし体が引き締まりすぎているのかもしれない。胸も平均より少し小さいぐらいだし、太ももとかもすこし締まりすぎて筋肉質に見えるかもしれない。それにあんまり女の子らしい料理とかは得意じゃない。

 そう考えながらセキュリティカードをさしてスーツのビジネスマンたちに紛れて中に入る。40階にあるオーダー・セイバーの司令室に向かう。ちょうどエレベーターをでたところで姫崎美園にあった。ショートカットを上品な具合に切りそろえていて、タレ目の優しそうな目、かわいい系の顔立ちだ。そうはいっても頭はすごいいいし、常にボクを助けてくれる。身長はボクよりも少し低いが、言うだけあって胸はボクよりもかなり大きい。彼女も学校終わりなのかセーラー服だ。

 ボク達二人はある部屋にノックして入る。そこは普通に沢山の人がパソコンの前で作業しているオフィスのような場所だ。

「二人共ちょうどいいところに来たわね。最近勢いが急上昇中の怪人グループ、ジョーカーの出現反応が現れたわ。すぐに急行してもらえるかしら」

 そういったのは姫崎静子、美園の母親だ。織姫財閥の幹部であり、オーダー・セイバーの日本における司令官の1人でもある。美園と同じ優しげな顔立ちだが、泣きぼくろが大人の女性らしさを醸し出している。今は軍人っぽい制服に身を包んでいて、ボクたちにの携帯に敵の出現位置のデータを転送してくれる。

 そのままボクと姫崎はエレベーターに戻って急いで地下駐車場に待機している車両に乗り込む。運転してくれるのは野島玲子さんという体育会系のお姉さんだ。ボクも何度か練習に付き合ってもらったことのある姉御肌の人で、今はグレーのビジネスマンっぽいスーツだ。

 外国製の強力な防弾車を改造したそれに乗り込むとボク達はマーカーの送られてきたポイントに急行する。そこは普通の住宅地だった。そのうちの一軒。やはり普通ぐらいの大きさの家が今回のターゲットポイントだ。基本的にはオーダー・セイバーは敵の機械が動力として使う微弱な地球にはないエネルギー波をもとに敵を探す。手元の端末で敵がまだ中にいることを確認する。

 まずボクが先行する。家の扉に鍵はかかっていない。ついで美園をハンドサインで呼ぶ。よく考えればボクたち二人は学校帰りに急いできたのでふたりとも制服のままだ。そのまま芹沢家の玄関をくぐって中に静かに入る。リビングのほうで物音がする。女性の喘ぎ超えもする。

そこで美園が囁く。

「敵の数もわからないし、危険よ」

 リビングの入口、すりガラス越しで内部の様子は若らいが、声は聞こえる。艶っぽい女性の喘ぎ超え、下品に命令する男性の声。ボクは生理的な嫌悪感から鳥肌が立つ。

「ひゃぁん、いいのぉもっとリナのマンコ使ってぇ」

「おらおらぁ、エロメイド共め、もっと俺に媚びろやぁ!」

ボクは美園にささやき返す。

「でも、犠牲者達を見捨てることは無理だ。ボクならきっとなんとかなる。

大丈夫、息を整えて突入しよう。犠牲者を1人でも笑顔に戻すことがボク達の使命だ!」

ハンドサインで3つ数えてボク達二人は息を揃えて突入する。中には5人の男女、ほとんど全員裸のような格好で絡み合っている。そして敵の秘密結社ジョーカーの下っ端スーツを着用した男が1人。ボクたち二人は下っ端スーツを確認するとそれぞれの胸のブローチに手をかけて変身コードを口にする。

「正義と秩序の守護者セイバー・レッド見参」

その言葉とともにブローチが輝きボクたちの着ている服を量子レベルで分解し再構築していく。体に吸い付くようにフィットするボディスーツは赤を基調として白のラインが体のラインにそってはしっており、胸の上の部分と下の部分にやはり白い金具がついている。胸の下の大きな金具はベルトのようになっており、真ん中に変身のための起動装置となったエメラルドグリーンのブローチがはまっている。

 下の部分はといえば、コスチュームで一番ボクが気に入らないことにかなりの角度のハイレグとなっている。股間部分にはやはり白いパーツが付いているものの太ももの部分はあらわになってしまっていて、かわりに足はメカメカしいデザインのやはり赤と白のブーツになっている。そして肘までの赤いグローブが追加されたボクの手にはセイバー・ソードが握られている。

 一方となりを見れば青と白の色違いとなっているセイバー・ブルーこと姫咲美園が拳銃の形をした武器を構えている。

 ジョーカーの下っ端らしい敵は変身したボクたちを見て慌てたようだった。

「おい、おまえら、盾になれ。オレは逃げるぞ」

そういってそそくさとリビングの窓を開け放って逃げ始める。ボクは勿論この卑怯極まりない最低な敵を逃がすものかと追いかけようとしたが、敵に操られているのか被害者の女性が二人ボクの体にしがみついて逃すまいとしている。勿論セイバー・スーツによって強化されているボクなら彼らを引き剥がすことは容易いが、その場合力の加減を間違えて傷つけてしまうリスクも有る。だから結局、

「コラッ!待て卑怯者!絶対にゆるさないからな」

っと逃げる敵のむしろ姿に言い放つしか無かった。

***

結局そのミッションでボク達は敵を取り逃してしまった。ただ不幸中の幸いとして被害者5名を救出することに成功し、彼らから敵の情報の一端を聞き出すことに成功した。

織姫財閥ビルの40階。様々な見慣れない機械が配置された部屋でボク達は会議をしていた。

「芹沢家は無事集中カウンセリングを終え、無事回復基調にある。記憶は修復され、今後はカウンセリングに通院するだけで済むものとおもわれる。

ただし、今回の件で明らかになったことは敵の本拠地はおそらく聖佳学園であるということだ。この問題点はどこまでが敵でどこまでが民間人なのか現時点では全くわからないこと。また、敵の装備レベルや数もわからない。ただし、我々の探知から隠れていたということは相当に周到で高度な敵と言えるだろうということだ。こういった状況の場合は他支部への救援要請を行うべきだが、昨今の異世界からの大量侵略事件によってそれは難しいと想わざるを得ない」

珍しく焦燥した顔で姫崎静子司令が現状を客員に知らせている。

「そこで今回直接オーダー・セイバーを潜入させ、敵の首領を暗殺する『天の雷』作戦を発動することに決定した。既に関係各所の協力は頂いている」

『天の雷』作戦はまず先行する潜入者を教師として聖佳学園に潜入させ、その手引のもとにボクと美園が学園に転入生として入り調査を行うというものだった。発表されるより数日前に前のミッションでボク達を現場まで送ってくれた野島玲子さんが体育の臨時教員として面接を受けていた。

そしてボク達オーダー‥セイバーのミッションが始まる。秩序と正義の守護者として、そして神坂流剣術の継承者としてボクは悪逆非道な敵を殲滅する。そう心に固く誓った。

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