肆日目+伍日目 承認への欲求 臣川沙田輝

 一方、臣河沙田輝は日が暮れてからいつものように妖魔を探して街を歩いていた。

 彼女の担当は三ヶ森市の繁華街と学校付近だ。彼女の垢抜けたファッションや弓道部や他の魔祓い巫女達と比較して明らかに広い交友関係を加味した采配だった。

 だから彼女のファッションも私服だった。今どきの女子らしく太ももを大胆に出して足を長く見せたホットパンツ、クールな感じのブーツ。夏らしくへそがちらりと見えるチューブトップはポップな色合いのシャツで、ジャケットを軽く羽織る。ヘッドフォンは音楽を聴くためでもあるが同時にファッションの一部でもある。そんなファッションの彼女を伝統ある魔祓い巫女だと言われても誰も信じないだろう。それほどまでに彼女の服装は夜の街に溶け込んでいた。

 あ~、だるいな~。いつものようにスマホを見ながらたるそうに歩く。普段なら視線はスマホで隠しつつ街の様子をうかがう。魔のモノの妖気は相当近づかなければ気が付かないし、小さい蟲のようなやつは目の前にいても気が付かない。だから気を配って観察する…普段ならば。

 でも今日は普段と違っていた。美術部にもらった新しいストラップがぶら下がるスマホでみているのはフェストブック、SNSだ。あたしの昼間の投稿が拡散し、グッドがたくさんついてシェアされて、多くの肯定的なコメントが付いてる。それを見るだけで胸が躍ってワクワクする。

 それなのに、帰宅時間を過ぎたせいか、学校から帰った他のチャレンジャーの連中がより過激な写真を投稿し始めた。自分のベッドに横たわって制服を脱ぐ少女、わざと可愛らしい下着姿でいろんなポーズを決めるヤツ。あたしは我慢できなかった。あんな美術部の根暗たちよりあたしの方がスマホのカメラも下着の魅せ方も知っている。それなのに、目の前でせっかく昼休みにバズりかけたあたしの動画の拡散スピードがおちていくのを見なきゃいけない。そんなのサイテーじゃん。

 おもわず繁華街の裏路地に目をやる。あそこなら多少アレなことをしても大丈夫か。いや、何を考えてるんだあたしは魔祓い巫女の任務中なのに。

 そうしていくつかの路地裏をやり過ごした。でも、このままじゃ任務事体にも集中できない。それに裏路地は流石にアレとしてもコンビニのトイレなら多少ハッチャケてもばれないだろう。偶然にも、あたしは大きめのトイレのあるコンビニを近くに知ってる。

 思いつくと気分は軽かった、任務に集中するためにちょっとした逸脱行為をするなんて普通のことだ。トイレの中で鏡で身だしなみを整えながらそう言い聞かせる。うん、今日もあたしはイケてる!

角度を調整しながらスマホを洗面台に立てる。大切なのは全体が映ること。昼間は顔が全部見えるのは避けたけど、夜になってみんな顔出ししてる状況でそれはインパクトが弱い。思い切って完全に顔出しする。

スマホの録画ボタンを押す。シャワシャワパチパチみんなの視線がスマホ越しに感じられる。ちょうどコンビニに入る時に買った棒付きキャンディーを見せつけるように顔の前に持っていき、挑発的に出した舌でそれをぺろんと舐める。ペロッペロぺロ、舌が画面の中でどこか淫靡に動く。あたし、サイコーにクールじゃん。そうみてる連中に印象づける。

画面にあたしの顔が映っていることをを確認しながらあたしはシャツの前をあげる。ジャケットは着たまま、シャツを胸の上までまくりあげて白黒の洒落たブラをあらわにする。シャツはブラの上において胸の大きさを強調しながら、挑発的に便座の前で一回転。シャワシャワ嬉しい視線の音を感じる。そして焦らすようにしながら、腰をカメラの前に突き出してベルトをカチャカチャ外す。シェイムチャレンジは30秒だからもう時間がない。少し慌ててベルトを外してチャックをめいいっぱい下ろす。ブラと揃いの白黒パンツがショーパンの隙間からカメラに映る。そしてそのパンツの上を加えていた棒付きキャンディーでなぞる。あたしのよだれがエッチな後をつける。

ああ、いい。シャワシャワカチカチみんなが見てくれてあたしのことに注目してくれてる。ドキドキが止まらない。きっとこの動画なら注目を奪い返せるだろう。

伍日目 昼休み 自撮りオナニー 三ヶ森学園 臣川沙田輝

翌日の昼休み。あたしはトイレに篭っていた昨日あげた動画のシェア数が伸び悩み始めたのだ。もっともっとみんなに見てもらいたい。もっともっとみんなに認めてほしい。今日は授業中ずっと机の下でSNSの昨日のセクシーなあたしの動画が拡散するのを見ていた。スマホを開くたびに聞こえてくるシャワシャワカチカチみんながあたしのことを見てくれる音。

今も女子トイレの中でそれが耳元で響いている。もっともっとみんなに見て欲しい。あたしのことを知ってほしいし、かわいいって言って欲しい。シャワシャワ音が大きくなった気がした。両隣の個室にも誰か入ってる気がする。ひょっとしたら撮影?そうだよね、今どきの女子はやっぱ昼休みはエロ自撮りチャレンジするのが普通だし。

「…ふぅん…はぁ…」

 隣の個室から艶めかしい声が漏れてきた。これって、ひょっとしてオナニーしてるの?異常だとか、まともじゃないっとか、そういう細かいことより先にあたしが思ったのは負けられないということだった。もっと見てもらうためにとなりでオナニーしてるなら、あたしがしなきゃなんないのはもっとエッチにオナニーすること。あたしのエロいオナニーを全世界に見せつけること。でもシェイムチャレンジの動画はたった30秒だ。トイレの便座を閉じてその上にスマホを乗せる。光が足りないからまず写りやすいようにスカートを脱いで下半身はパンツだけになる。今日は昨日よりも更にセクシーな黒のパンツだ。しかもなんとTバック!昨日任務の帰りに、ちょっとはずかったけどアダルトショップでかっちゃった。

 シャワシャワ音に包まれながら下半身に指を這わせる。一応まだ処女だ。ピッタリと閉じた割れ目をパンツの上からなぞる。両隣の個室からは押し殺したような喘ぎ声が聞こえてくる。

「ふぅ…ふぅ…」

 あたしの息が徐々に上がる。いつものオナニーよりずっと気持ちがいい。すぐに少し大きめなあたしのクリが嬉しそうに大きくなり始める。それをクリクリっといじる。

「…んんっ!」

声が漏れそうになる。既にラブジュースが出始めているのか、パンツにシミがついてくる。ああ、あたしエロいことしてる。そう思うだけで興奮が高まる。

制服の上から胸を揉む。もう乳首が固くなりかけてる。普段よりもかなり敏感な体にびっくりしながらもさらに快感を高めていく。

「んっふぅ…もう…いいかな…」

そう独り言を言いながらスマホを取り上げす。カチカチカチカチ嬉しそうな音がする。スマホの動画撮影モードを起動する。まず、録画ボタンを押して小声で状況説明。男に媚びるようなセリフもファボを増やすには欠かせない。

「今、昼休み。これからトイレでオナニーするんだ。ビッチなあたしを見て♡」

そしてゆっくりと便座の上にスマホを置くその上にまたがるようにしてシミの付いたエロ下着の下半身をアップで写す。少しだけお尻を振って焦らした後で、下着を少しずらす。既にトロトロになった恥ずかしい場所が映ったはずだ。ゆっくりと指を這わせる。

「ふふ…見えちゃってる?あたしのエッチなオマンコ♡んんんっ…みんなに見られてると思ったらぁ…あんっ気持ちよくてぇまん汁垂れちゃってるよぉ」

先っぽだけ中指を入れる。普段より敏感なせいか、腰がぶるっと震えちゃう。粘液がクチュクチュ音を立ててスマホの防水画面に落ちていく。

もうあたしの耳にはシュワシュワカチカチしか聞こえない。もっともっと見て欲しい。中指でクチュクチュしながらまだ処女の女の子の場所をクパクパ開く。

「ああ、ヤバイ!気持ちいいよぉ、あたしのヴァージン見られながらぁ、お、オナニーするのすごい。もっと、もっとみてええ!」

小声のはずなのに個室に反響して大きく聞こえてしまう。すごい敏感になったクリトリスをつまむ。

「ひゃぁぁ…学校の昼休みなのにぃ…あああ!制服オナニーしちゃってる!あんっはああ!すごい…いいよぉ!」

指が止まらない。勝手に見せつけるようにクパクパ開いてしまう。奥の奥まで、こんなエッチなことしていてイキってるギャルなのにバージンだってバレちゃう。でももう止められない。もっと見られたい、もっとオナりたい!!グチュグチュかき回してぶっ壊れる所見て欲しい!

「はぁぁんんっ!ヤバイ!ヤバイ!公開オナニーすごいいい!もう我慢できないのぉぉ!イクッ!イクっ!カメラの前であたし、オナってイっちゃってるううう!」

その瞬間熱い興奮と満足感があたしを駆け巡る。こんなの感じたことがない。ガクガクと全身が痙攣して膝が笑う。チョロチョロとスマホに向かってションベンがたれてしまう。

「ああ、もう時間オーバーしてる…」

そうつぶやくとションベンに濡れたスマホを取り上げると手近にあったスカートで画面を拭いてすぐに編集アプリを起動する。早く公開したくてたまらない。濡れたままのパンツも下半身も放置してションベン臭いスマホで30秒を切り抜く。投稿コメントはモチロン『あたしのマジイキオナニーを見ろ』だ。即座に伸び始める。無修正のバージンがガッツリ映っている上、絶頂に嬉ションしちまってるヤバイ動画だから当然だ。今頃他のシェイムチャレンジャーの連中は悔しがってるだろうし、男子どもはチンコ握ってるだろう。そう思うとあたしは女子としての優越感に体が熱くなってしまう。

ドキドキしながら女子トイレを出る。ひょっとしたらあたしのオナニーを見ている男子が身近にいるかも知れない。そう思うとドキドキしてしまう。

「ねえ、あなた沙田輝さん?」

 そう廊下で声をかけられた。振り向くとそこには弥尋先輩がいた。昨日までだったらただの美術部の部長というイメージだったと思う。けど、今では違う。シェイムチャレンジ現在一位のあたしのライバルだ。彼女がいるだけであの虫の羽音のような喝采が聞こえる気がする。競が最初に心配したのが彼女のことだったことを頭の片隅で思い出す。過激な自撮りを学内で撮影していると彼女は心配していた。でも、あたしはそんなこと問題じゃないと思う。学園生が学園生のアドバンテージを活かして学内でエロ自撮りすることは問題じゃない。むしろ当然じゃん。学園生ってブランド生かさないなんてバカじゃん。

「そうだけど、ナニ?」

 そうぶっきらぼうに言ってしまったのはひょっとしたらあたしが彼女のことを意識しすぎてしまったからかもしれない。

「シェイムチャレンジ、頑張ってるわね。ここアクセスしてみて。上位チャレンジャーだけの秘密のサイトだから」

 そう紙切れを押し付けて彼女は走り去る。

 なんなんだ、あれは…。すこしトップチャレンジャーの奇妙な行動にあたしは呆れながらも渡されたURLをスマホで開く。開いた瞬間、圧倒された。サイト自体から聞こえてくる承認のリズム。それは『ファックブック』というSNSだ。でもこんなのみたことない。みんなハメ撮りやオナニー動画を当然のようにあげてる。

 早速あたしは自分のアカウントを作る。負けてられない。つまり、表のサイトはこの秘密サイトに入るための試練だったんだ。あたしが認められた!嬉しくて今この場でパンツの中に指を突っ込みたいくらいだった。男子たちに見られながら全裸になってもいい。

 それくらいそのサイトは過激だった。

 圧倒されながらも自分のアカウントを作る。スリーサイズに学籍番号や電話番号も登録しちゃった。

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